午後3時
「特殊任務だ。
とある犯罪グループの潜伏地域を特定した。
今すぐ制圧に向かってくれ」
紫穂の携帯に連絡が入った。
「はあ…
またなの。上層部は人遣いが荒いわ。」
紫穂は、特別警察の捜査官である。
年齢は22歳、女性ながらも
抜群の判断力と身体能力を持つ。
幼い頃から、
合気道、空手、キックボクシング、剣道など
さまざまな武術を習得。
数々の現場で、
犯人を逮捕・拘束する実績をあげていた。
この手の事件現場の犯人制圧で、
もっとも困難な瞬間は「突入」「潜入」である。
その点、紫穂は女性であること、
華奢で可愛い見た目であること、
まだ若く10代にも見えること等から、
一般人を装って潜入したり、
交渉役を装って現場に潜り込むことができた。
例えば、強盗などの立て篭もり事件では
男性が交渉役を名乗りでた場合、
どうしても犯人側は警戒してしまう。
しかし紫穂のように、若くて華奢な女性となると、
「いざとなれば、人質にすればいい」
という心理が働いて油断させやすく、
現場に入りやすいことが多いのだ。
いったん現場に潜入してしまえば、
紫穂にとって後は簡単だった。
相手がナイフや銃を持っていようと、
4~5人程度であれば、隙をみて得意の蹴りや関節技を駆使し、
屈強な男たちを簡単に制圧することができた。
-4時20分
制圧完了。
今回も、紫穂が「警察型の交渉条件を伝える窓口」を装って
現場に入り制圧する、といういつも通りのステップの簡単な仕事だった。
アジトにいたボスの男性1人、
部下の男性2人と女性2人の合計5人を拘束。
全員、紫穂によって手荒に手足を縛りあげられ、
目隠しをされ、口には猿轡を嚙まされていた。
手は後ろ手に縛られ、
足はピッタリと閉じた状態で括られて、
芋虫のように床に転がされ、
「むーむー」と呻いていた。
15分後、
現場に到着した警部組織。
中沢警部補がいう。
「紫穂捜査官。
ご苦労、よくやった。ここからは我々が預かろう。
犯人達は署まで連行する」
紫穂は笑顔で答えた。
「わかったわ。
でもこの女の子だけは30分だけ
置いておいてくれる?」
溜息をつく中沢警部補。
「わかった。
それが契約だからな。
1時間経ったら引き取りにくる」
そういうと、警部補は
他の男3人女1人を縛り上げたまま
車で連行していった。
「ふふふっ、
せっかく可愛い子見つけたんだもんっ
いま連れて行かれちゃ貯まらないわ」
-契約
紫穂がまだ若い女の子でありながら、
過酷でハードな現場の最前線に送り込まれるのには
理由がある。
実は、紫穂はそのずば抜けた事件解決能力を買われ、
期間契約によって捜査官の特殊任務に就いていたのだ。
「ええー、
そんな危険で面倒な仕事やりたくなーい」
そういっていた紫穂が、
この捜査官の仕事を引き受けた条件・・・、
それは・・・、
「もし自分で犯人を拘束した際、
犯人の中に気に入った女性がいたら、
1時間だけ好きにしていい」
というものだった。
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-くすぐりへの目覚め
紫穂は、特殊な性癖を持っていた。
それは、
「生意気で反抗的な悪くて美人の女性をくすぐる」
というマニアックなものだった。
目覚めたのは、幼いころに
好んで観ていたアニメ。
そのアニメには、カエサルという
傲慢で高飛車な美人の悪者キャラがいた。
悪ボスの直属の手下。
セクシーで美人で、頭がよくてカッコよく、
主人公のヒロインも手を焼くキャラ。
悪役ながら、
幼い紫穂はこの悪役美女キャラに
憧れのような気持ちを抱いていたキャラ。
ところが、ある日のシーンで
その憧れや尊敬のイメージが瓦解する。
悪者キャラが主人公たちヒロインに囚われて、
秘密アジトの場所を尋問されてしまうのだ。
その尋問シーンで使われたのが【くすぐりの刑】だった。
主人公ヒロインの魔法で
悪女カエサルは、手足を大の字で拘束されてしまい、
脇の下をくすぐられて、アジトの場所を白状させられてしまう。
そのときの悪女カエサルの姿が、
あまりに無様で、
幼い紫穂には衝撃的だった。
(な・・・何これ・・・・
こ、こんなの
私の憧れのカエサルじゃない!)
普段は冷徹でカッコよくて
美人で傲慢な悪女カエサルが、
憎い主人公ヒロインにコチョコチョされて、
顔を真っ赤にして涙を流しながら
アジトを白状させられていたのだ。
子供向けのアニメなので、
そのシーンは僅か数十秒程度、
ちょっとしたコミカルなシーンに過ぎないのだが、
幼い紫穂には、そのシーンが強烈に印象に残った。
(やだ・・・
なんか・・・恥ずかしい・・・かも)
余裕綽々の勝ち誇ったような
残忍なイタズラ顔で
くすぐる主人公ヒロイン。
そして、
みっともなく大口を開けて、
プライドも捨てて
仲間を売る悪女カエサル。
くすぐられる悪女カエサルの姿を見ていると、
自分が今まで、こんなキャラに憧れていたことが、
恥ずかしいことのように思えてきた。
と、同時に・・・
(正義のヒーローになれば、
悪女には、ああいう酷いことを
してもいいんだ・・・)
という不思議な教訓を覚えた。
というのも、そのアニメでは、
悪女キャラが主人公に懲らしめられて、
恥をかかされるのは当然の報いであり、
むしろ良いことのように描かれていたからだ。
紫穂はそのときから、
(私は強い正義のヒーローになって
悪い女性をくすぐりたい)
という謎の性癖に目覚めたのだった。
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学校時代
学生のときには、
不良でリーダー格の女子を
くすぐるのにハマった。
紫穂は喧嘩では
絶対に負けなかった。
イジメの現場を見つけたりすると、
そのリーダー格の女の子を、
みんなの前で、柔道技で投げ飛ばしたり、
関節技をきめて、押さえ込んだ。
この時点で不良の女の子はみんな、
「ギブっ、ギブっ」と音を上げてしまう。
しかし、紫穂は、みんなの前で
不良リーダーの女の子を
そのままくすぐり責めにした。
例えば、合気道の技で
肩を固めて床に這いつくばらせたまま、
空いたもう一方の手で不良リーダー女子の
脇腹をモミモミとくすぐった。
「ひぎゃっ?!はーっははははははっはははっ、なっ、何っ、やめろーっはははっははははは、
ふ、ふざけっーはははははははっは、ちょ、やめてーっはははははっ、やだーっははははははは」
こういうとき、
不良の取り巻き女子たちは助けに来ず、
大抵、唖然としてその場を静観していた。
リーダーの女の子というのは、
どの学校でもそうだが、
大抵、人一倍おしゃれにも気を遣っていたり、
ちょっと垢抜けてて美人だったりする。
そして、
大抵、悪ぶってカッコつけていたり、
周りを見下して良い女ぶっていた。
昔観たあのアニメの
悪女カエサルのように。
そんなリーダー女子を
くすぐるのは快感だった。
紫穂にとって
くすぐりは「心の暴力」だった。
カッコつけることを許さず、
良い女キャラの仮面を剥ぎ落し、
強制的に本来の人のみっともない姿を
晒け出させる暴力。
「ぎゃーっははははははははははっははは、やべでーっははははっはははは、無理無理っははははは
息でぎないがらっーははははははっはははは、許じでーっはははははは」
「お願いっはははっははは、し、紫穂ちゃんっ、紫穂さんっーっはははははは、お願いっーっははははは、
だっ、誰かーっはははははははっははは、み、見てないでーっはははは、助げでーっははははは」
関節技で肩をキメられると
絶対に動いたり自力で起き上がることはできない。
その状態で、
脇腹を揉まれるのは本当に苦しいだろう。
あばら骨を1本1本揉まれ、
ツボに指を入れられれば、
本当に息ができないかもしれない。
でもその光景は
周りからみたら
滑稽にしか見えない。
普段、威張っていて
理不尽に偉そうにしている
不良リーダーが、
くすぐられて泣きそうになっている。
一般生徒からしたら、
カタルシスでしかない。
取り巻きの子分や
不良仲間にしても、
いまコチョコチョされて
惨めに許しを請っているのが
自分たちのリーダーだとは信じたくない、
という気持ちになってくる。
変に助けに入って
自分が同じ目に合うのも嫌だ。
なかには、
くすぐられる不良リーダー女をみて
(今までは媚びへつらっていたのに)
露骨に軽蔑した目線を投げかけたり、
嘲笑する女の子もいた。
私
「もう明歩ちゃんのこと、
イジメちゃダメよ? わかった?」
不良リーダー女
「わかったがらっ、あはっははははははは、わっ、わがりましだーっははははははっははははは
ははは、わかったからっ、早くやめでーっははははひひ」
私
「よしよし、いい子ね。
じゃあ大きい声で明歩ちゃんに、ごめんなさいしよっか?」
不良リーダー女
「なっ、やーっははははっははは、な、なんで、ひーっひひひひひひひっひひひ、あんな蛆虫にっ
私がーっははははははははは」
私
「むう。悪い子。
そういう汚い口利いちゃダメでしょ。
明歩ちゃん、こっちおいで」
私は、カツアゲをされようとしていた
明歩ちゃんを近くに呼んだ。
私
「私押さえとくから、
自分でくすぐって懲らしめていいよ?
大丈夫、後で
絶対に復讐はさせないから」
明歩ちゃんは、嬉しそうに頷くと、
躊躇なく不良リーダー女子の脇腹を掴み、
力強くモミモミと揉みしだいた。
-5分後
不良リーダー女
「ははははははっ、ごめんなさいっ、明歩さんーっはははははっははは、ごめんなざいーっははは
許してーっははははははははっ」
クラスメイトたちが見ている前で、
普段いじめてた女の子にくすぐられて
謝罪させられる不良リーダー女子。
その姿に、
紫穂はひそかな興奮を覚えた。
(これだから、正義の味方は
やめられないの・・・)
そしてそのまま紫穂は、
武道の腕を磨き、大学に進学し、
その在学中に捜査官にスカウトされた。