ここまでまるで傍観者のように書いてきましたが、
私自身、本当は兄に同情的な立場でした。
母のお仕置きは、ずっと昔からやりすぎだと思っていました。
兄が私より何倍もくすぐりに弱いことも知っていました。
「ママ、お兄ちゃんへのお仕置きが厳しすぎるんじゃない?」
「せめて…お仕置き中もパンツは履かせてあげたらどうですか?」
私は、何度かそうママに進言したことがあります。
「いまどき、高校生にもなる男の子をハダカにしてお仕置きする家なんてないですよ?」
しかし母の答えはいつも同じでした。
「いいですか、奈美。
他所は他所、うちはうちです」
「うちにはうちの躾の方針があるんです」
私「でも…..」
「京太郎さんは、東〇大学にトップの成績で合格して、
将来は国会議員になるか、大手企業の役員になるんです。
そこら辺で遊んでばかりいる、普通の家庭の男の子とは家柄も出来も違うのです。
いいですか?
普通の人とは歩む人生が違うのですから、教育方法も違うのが当然です。
京太さんが、正しい道を歩めるように指導するのが、母の務めです。」
それでも、
私は、兄のお仕置きのことは半分興味で見たりしていましたが、
半分はやはりかわいそうだと思っていました。
***************
ある日の夜のこと。
私は喉の調子が悪く、温かい牛乳が飲みたくてキッチンにいました。
冷蔵庫から牛乳を出し、レンジで温めるために、
棚からお気に入りのピンクのマイカップを取ろうとして、溜息をつきます。
「…んもう、また届かないじゃんっ…!」
おそらく家政婦さんが、
また間違って高い棚に私のカップを収納してしまったのでしょう。
身長の低かった私には、台がないと届かない場所です。
すると、後ろからヒョイっと手が伸びました。
それは兄の手でした。
兄「はいっ」
私「……ありがと。」
兄は、私のコップに手渡すと、自分のコップにも牛乳を注ぎ始めます。
(…お兄ちゃん….いつの間にこんなに背が高くなったのかな…)
あまり意識したこともなかったのですが、
あらためてみると、兄は昔にくらべて背が伸びていて、
体格も少し引き締まっているように見えました。
シャツ越しでも腕に少し筋肉がついているのがわかります。
兄「….ん?どうかした?」
私「….いや、べ、べつに……」
(もうお兄ちゃんも、すっかり男性なんだなぁ….)
私はマジマジとそんなことを思いました。
私は暖かい牛乳を飲みながら、兄に話しかけました。
私「どう?最近は…大丈夫?」
兄「….ん? ああ….まあ、大丈夫だよ」
兄は少しだけ気まずそうにそう答えます。
私はかわいそうになって言いました。
私「ねえ、お兄ちゃん….私からママに、もうお仕置きは卒業するように頼んであげよっか?」
兄は少し沈黙しました。
私「….だって、こんなのおかしいって。
私だってもう小学生でお仕置きは卒業してるのに。
お兄ちゃんはもう高校生なんだよ?」
兄はまた少し沈黙してから、微笑みました。
兄「….ありがと。それじゃ、言うだけ言ってみてくれるかな…?」
私は兄を助けられるかもしれない、
そう思って少し気分が明るくなりました。
(母の機嫌のいい時に相談してみよう…!)
しかし忘れっぽい私は、その後、約束のことはすっかり忘れていました。
********************
それから3週間後の
ある別の夜のこと。
私は玄関先で、スマホ通話で友達と長話をしていました。
あまり友達との会話を家族に聞かれたくないので、
玄関から外に出て、通話をすることが多かったのです。
「ばか、違うよぉっ!(笑) じゃあまた明日ねっ」
1時間半ほどの電話が終わると、
私は渡り廊下を歩きながら、自分の部屋へと向かっていました。
そして少し薄暗い廊下を歩いていると。
その渡り廊下で、
兄が水の入ったバケツを持って立たされているのが見えました。
(……..え?……..)
私は驚きました。
兄は両手にバケツを持ったまま、ズボンとパンツを膝まで降ろされて、
おちんちんを丸出しにしていたのです。
どうやら、母のお仕置きの際中だったのでしょう。
そして、その格好のまま、私と目が遭ってしまったのです。
兄「…….ご、ごめんっ…。見ないでくれ….っ」
兄は情けなさそうに、小さい声でそういいました。
兄がお仕置きされてるところを、私に見られたくないのは当然です。
でも兄の前を通らないと、私は自分の部屋に帰れません。
私「……わかってる。見ないから…..」
私は小さい声でそういうと、兄と目をそらしながら、兄の前を通り過ぎました。
しかし、兄の前を通り過ぎて2メートルほど進んでから。
私は急に、兄が少しかわいそうになりました。
私(・・・・・・・・・・・・・)
私は無言で振り返り、立たされている兄の方に歩み寄りました。
そして足首まで脱がされていた兄のパンツを持ち上げ、パンツを履かせてあげました。
おちんちんを隠してあげたのです。
兄「……ありがとう….っ」
兄は両手にバケツを持ったまま、
顔を真っ赤にしながら、消え入りそうな声でそういいました。
私は良いことをして、気持ちが軽くなって、自分の部屋に笑顔で戻りました。
しかし問題がおきたのは15分後でした。
(コンコン)
「奈美さん、奥様がお呼びでございます」
私の部屋のドアを、家政婦さんがノックしながら、ドア越しにそういいました。
私は少しだけイヤな予感がしました。